【5学年】メディカルコース特別講話
メディカルコースでは、松本協立病院の病院長 佐野達夫先生をお招きし、「『健康』に影響を与えるものは何か?」をテーマにお話しいただきました。
冒頭には、世界の平均寿命について、「なぜ同じヒトという種であるのに、地域によってここまで寿命に差があるのか?」という問いかけがありました。
続けて、佐野先生ご自身の経験から、治療が遅々として進まなかった患者さんが紹介され、生徒たちはその理由・原因を考察しました。
先生は、様々なデータや資料を示しながら、「健康」の社会的決定要因について教えてくださいました。
WHOは「健康」について、病気でない、弱っていないということではなく、「肉体的、精神的、そして社会的にも全てが満たされた状態にあること」と定義づけています。
今回の内容は、医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に伴い、アドボカシーという用語とともに盛り込まれ、全ての医学生が学ぶことになっています。
これまで医師とは「病気を治す職業」という認識だった生徒たちにとって、より広い視野を得る機会となりました。
佐野先生、お忙しい中、貴重なご講演をありがとうございました。
以下に生徒の感想を紹介します。
・単に医療と聞くと、とかく「治療」に目が向きがちであるが、病気になる社会的要因が大きな割合を占め、密接に関係していることを認識できた。大学で学ぶ内容といえども、高校生のうちから触れることができたのは本当に良い機会となった。
・今日のお話をお聞きして、医師を志す者として、必要な心持ちを学ぶことができました。それぞれの患者さんの背景に思い至り、そして寄り添って治療にあたって行ける、そんな医師を目指します。
・私は将来、紛争地域や十分に医療の行き届いていない地域に医療を届ける団体に入り、人道支援をしたいと考えています。紛争のために医療サービスを受けることができないということは絶対にあってはならないと思います。そのような問題の原因に目を向け、微力ながらも人道支援し、人々の命を繋ぐ助けをしたいと強く思いました。改めて自身のすべきこと、使命を確認し、将来に向けて一歩前進することができました。